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大韓民国にHICARE会長等を派遣

韓国からの研修生受入事業の見直しや今後の受入についての協議,これまでに受け入れた研修生の現在の医療活動状況の調査,研修生相互のネットワーク構築の促進を図るため,土肥会長ほか3人を韓国に派遣しました。

期間:

平成16(2004)年11月9日(火)~13日(土)

構成員:

団長  土肥 博雄  HICARE会長(広島赤十字・原爆病院長)
団員  和田崎晃一  広島大学医歯薬学総合研究科講師
団員  小園登久男  HICARE事務局
団員  村末  隆  同

訪問先(8病院等):

大韓赤十字社,原子力医学院,嶺南大学校医科大学附属病院,
啓明大学校東山病院,釜山大学校病院,釜山報勲病院,
WALLACE記念浸禮病院,仁濟大学校釜山白病院

韓国の被爆者を見舞う土肥会長(於:釜山報勲病院)

所感:

  今回の韓国訪問では,これまでに広島で研修を受けた研修生の所属する病院等を訪問し,広島でのHICARE研修の成果等について,病院長等や研修生本人と意見を交換しました。今回いただいたご意見やご提案を踏まえて,今後のHICARE研修を見直していきたいと考えています。
 
  韓国でお会いした研修生のいずれからも,広島での研修経験が得がたいものであったとの感想をいただき,大変うれしく思いました。訪問中に研修生からお伺いしたお話はいずれも印象深いものでしたが,その中でも複数の研修生の方々からお伺いしたとても印象に残るお話がありました。
 
  研修生の方々が広島でHICARE研修を受けるまでは,医師として韓国の原爆被爆者を診察する際,その患者さんが被爆者であるということを特に意識することはなかったそうです。しかし,広島に滞在し,広島の空気に触れ,実際に原爆被爆による人体への影響を学んだことにより,「実感」として原爆の放射線による影響を理解することができるようになったそうです。この「実感」は,韓国に帰国した後,被爆者の方々の治療を行ううえでとても役立っているそうです。少なくとも,HICAREの研修で広島に行かなければ,原爆の被害ということ,被爆ということについて,今ほどに理解することはできなかっただろうとおっしゃっておられました。
 
  今回,韓国の研修生が所属する病院を訪問した際,土肥会長は病院の関係者の方々に,「韓国と日本の医療技術ということに関しては,現在それほど水準が違うということはないかもしれません。しかし,韓国の医師の方々に広島でHICARE研修を受けていただくということは,技術的なものはもちろんですが,非技術的なものを学んで帰ってほしいということでもあるのです」と繰り返し説明いたしました。
 
  前述の研修生の方々のご意見は,広島で,まさに「非技術的なもの」を学んで帰っていただいたということではないかと思われました。HICARE研修は,韓国の被爆者医療に大変貢献していると改めて実感しました。
 
  最後になりますが,今回の韓国訪問では,いずれの訪問先でも温かい歓迎を受けました。改めて感謝申し上げます。